情熱の赤


あたしは今、港の先端にいる。
海一面・・黄金に輝きキラメク水面を見ていた。
もうすぐ・・・もうすぐ・・・
彼等がやってくる。


ー10年前ー

あたしの住むこの穏やかな小さな町に
名を上げた海賊がいた。

長い航海を控えた彼等との最後の夜の日。


大きな声で叫びグラスを合わせる。店の中は、むせかえるような煙草の煙と
空のビンが散乱してた。


「さぁ!飲め!飲め!ガハハッ!」

一際大きな声で叫び、カウンターに腰掛、みんなに声をかけてる赤い髪の男。

ーシャンクスー

あたしは小さな頃からシャンクスを見ていた。
面白いお兄ちゃんで幼馴染のルフィと、一緒によく遊んでもらった。
一緒に居るのがただ、楽しくて、それだけだったのに・・・。


いつからだろう・・・
シャンクスを意識しだしたのは・・シャンクスの豪快さと秘めた優しさ・・・。

昔・・小さな仲間・・ルフィをかばって片腕をなくした時でさえ
泣きじゃくるルフィを抱きあげて・・・笑ってた・・・。

そんな強さに、グイグイ引き付けられて。

それでもただ見ているだけしか出来なかった。でも・・いつでも一緒に居られる事が、嬉しかったのに・・

シャンクスは今夜で、この町からいなくなる。

幼い胸が初めて悲鳴をあげていた。
13歳のあたしにはどうする事も出来なかった。

でも・・今夜は・・・


「シャンクスっ!!」

回りに負けない大きな声で、意を決して、シャンクスの前に立ちはだかった。


「おっ、クミなんだ?酒はまだダメだぞ〜」シャンクスは話の片手間にあたしを見て、そう言った。

いつだってそうだ・・シャンクスはあたしを子供扱いする。

頭にくるっ!

シャンクスの手の中にあるグラスを取り上げ、一気に喉に流し込んだ。

「おぉ〜おぉ〜!凄いねぇ〜クミちゃんっ!ワハハッ!」怒るどころか手を叩いて喜んでいる。

バンッ!

グラスをテーブルに激しく置き、もう一度深呼吸をして口を開いた。

「シャンクスっ!!あたしも船に乗せてっ!一緒に連れて行ってっ!」「あん?」

シーーーーーーーン

あたしの発言に驚いたみんなが、一斉に黙った。

そして・・・

「ぎゃははははっ!!!」「ワハハハハッ!」「うひゃひゃひゃ〜〜〜!」

今度は一斉に笑い出した。

「オイオイ!そのセリフはルフィだけかと思ったら、クミもかよっ!どうすんだ?親方〜〜?」

「どうするって、男ばかりのむさ苦しい船ん中で、こんな可愛い〜〜クミちゃん、放り込んだらお前ら我慢できるのかよ〜」

「3日も生きてないだろうな・・・」みんなの視線が刺さった。

「もぅ!!あたしは真面目に言ってるんだけどっ!」

「いやいや・・こいつ等も十分真面目な意見だからよ、なっ!お前ら!」

「オーーーーーーッ!」

拳を振り上げ雄叫びを上げる。

「まっ、そう言う事だから、あきらめろやっ!」

ポン!とあたしの頭を叩いて、又何事もなかったように酒を煽った。

「シャンクスの馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁ!!」

居た堪れなくなったあたしは、おもい切りドアを開けて、港まで走った。


「馬鹿・・馬鹿・・シャンクスの・・馬鹿・・・」

気持ちの整理が出来ない、初めての恋に戸惑い
明日からはもう本当に逢えないんだと思うと
この海に身を投げたくなった・・・

「お嬢さん〜危ないよぉ〜」「えっ・・あっ!!」

港の淵ギリギリに居たあたしは、声に驚いてバランスを失った。

「あぶねぇっ!!」言葉より早く飛んできたシャンクスに、抱きとめられた・・・

「あっ・・・・・・・・」

シャンクスの身体に染み付いた潮の香りが、優しく包んだ。

「よかったな、魚の餌さにならなくてよ」 「ありがとう・・・」

見上げた顔には満面の笑み。

「さっきはからかうような事言って、悪かったな・・」煙草の煙をゆっくり揺らしながら、そう呟く。

「許さないもん・・」 「オイオイ・・怒るなって・・あはは・・」

あたしだって本気で船に乗れるなんて、思ってなかったんだ。でも・・どう気持ちを伝えたらいいのか、わからなくて・・

「ねぇ、シャンクス!あと10年たったらあたしをシャンクスの女にしてくれる?」

若いって・・恐い・・
こんな事平気で・・本気で・・言ってたんだ・・

「あぁ!いいねぇ〜10年たったらクミも23歳だ、立派な女だからなっ!頼んで俺の女になってもらっちゃうからな!ガハハハッ」

シャンクスには他愛ない約束だけど
あたしは・・本気だった。




そして10年・・あたしは変わらずシャンクスを
思い続けてた・・・。



「来たぞぉぉぉぉぉ!!!赤髪海賊団だっ!!!」

誰ともなくそう叫んだ。


来た・・・シャンクスが・・来た・・・


ー情熱の赤ー



鳴り止まぬ大歓声を浴びて、彼等が降りてきた。

この町での停泊期間はわからない。シャンクスの気が向いたら又、さよならなんだろう。

だから町のみんなも今、この時に、彼等を精一杯迎えるんだ。

あたしは群集から離れた所で、この光景を見ていた。

真っ黒に日に焼けた男達が、次々と甲板から降りてる。

そして・・・・


シャンクス・・・シャンクスだ・・・


一番最後、みんなに拳を振り上げて、シャンクスが降りて来た。



あたしは声も出せずに、息を飲んだ。

変わらない・・10年前と少しも変わらない。その姿に身体が熱くなった。




夜中まで続いた宴も終焉を向かえ、静かに虫の声だけが響く。


あたしはまだ起きているだろうシャンクスの元へ・・やっと逢いに行く。

町の数件の宿屋にみんなバラバラに安息を取っていた。

シャンクスは・・・ココに居る・・

あたしは宿屋の前で大きく、深呼吸をする。手鏡を出し、化粧と髪を直した。


幼すぎた10年前とは違う。


トントン・・

「誰だ?」あたしは返事をしないでドアを開ける。

「ん?俺は女なんか頼んでないぞ・・」

暗くてあたしの顔がよく見えないのか?それとも、本当にあたしがわからないのか?

ゆっくりシャンクスに近づいた・・・。

椅子に腰掛け、まだグラスを揺らしていたシャンクスはじっと、あたしの顔を見た。


薄暗い部屋の中、あたしは月明かりの照らす場所に移動した。

「おっ!!!!クミかっ?!」やっとわかったらしい。

「おかえり・・シャンクス・・」苦笑しながら言葉を交わした。


「おぉ〜おぉ〜クミっ!大きくなったなっ!!」 「えっ・・シャンクス・・大きくなったって・・」

10年経っても、子供扱いは変わってないらしい。だから、あたしもつい・・

「もぉ!!10年経てば大きくなるに決まってるでしょっ!まったくぅ!!!!」頬を膨らませて拗ねた。

「ワハハハッ!なっ・・やっぱりクミだっ!そのホッペの膨らみが変わってねぇや!」

ロッキングチェアーを揺らして笑う。

「あはは!」あたしもつられて笑ってしまった。



「ただいま・・クミ・・・」急に真面目な顔でそう言った。

その顔を見たとたん・・・今までの思いが爆発しちゃったんだ・・・

あたしはしゃがみ込み、シャンクスの膝の上に頭を乗せた。

グラスを置いた手が、静かにあたしの頭を撫で、髪をすいた。瞳を閉じるとあの時と同じ・・潮の香りがする。


「綺麗になったな・・お前・・」 「からかわないで・・・」

「嘘じゃねぇよ」 「ふふ・・男がほっておかないわ・・」

「だろうな・・ふっ・・」 「先約アリ・・って断ってるわ・・」

「クソっ・・その幸せな奴は誰なんだ・・」あたしは、シャンクスの膝の上から顔を上げた。

そして、シャンクスの鼻先に指を差した。「この方がその幸せなヤツ・・です・・」

目をまあるくしたまま口を開く。「お前・・まさか・・10年前の約束・・」

あっ・・シャンクスも覚えていてくれたんだ・・。一瞬にして、暖かい想いに包まれた。

「忘れないわ・・自分で言った言葉だもん」 「『10年後に俺の女になる』って言ったよな」

「うん・・」

「それがどんな意味なのかお前はわかっているのか?」

右手であたしの顎を掴み、少し恐い顔をした。

シャンクスが何が言いたいのか・・今のあたしにはわかる。

シャンクスが居なくなった後、シャンクスを忘れようとして、いくつかの恋もしてきた。

どれも成就しなかったけど・・・
身体はすっかり女としての喜びを経験してきた。

コクリ・・小さく頷いた。

顎にかけられた手は、更にあたしを引き寄せた。

(キスされるっ!)そう思ったのに・・・。

シャンクスは、ほんの数秒だけ・・・鼻先に唇を当てた。

「シャッ、シャンクスッっ!」

思い上がりだったのかな・・・あたしは10年経っても・・シャンクスにとっては子供のままなのかな・・。

・・・悔しい・・・

「シャンクス・・やっぱりだめなの・・あたしじゃ・・だめなの・・・」声はすでに上ずり・・涙が溢れてきた。

「うわぁ〜〜!泣くなっ、泣くなっ!俺は女の涙は苦手なんだよ〜」

慌てるシャンクスが可笑しくて、あたしは大袈裟に泣いているフリをした。

「わぁ〜どうしたら〜いいんだ〜誰が呼んで来るかっ!ベンかっ!ベックマンかっ!」

頭を抱えオロオロする姿に、我慢できなくなった。

「あっははははっ!」瞼を押さえてた手をお腹に移動させ、笑った。

「あん?クミィィィィ〜〜〜!お前ぇぇぇぇぇ〜!騙したなぁぁ!」

チョット・・顔が本気モード・・ヤバっ・・

「きゃーごめんなさいぃ〜〜」ベットに逃げ込み頭からシーツをかぶった。

「このシャンクス様を騙すなんて、いい度胸だぜ!」

バサッ!豪快にまくられたシーツ。

「参ったね・・俺を騙せるようになったんだな・・大人になったか・・クミ・・・」

服の上から、胸を掴まれた。

「いっ・・つぅ・・」「嫌か?」

黙って首を横に振る・・嫌ジャナイ・・・・・。

バリバリ・・・

シャンクスは自分の着ているシャツを、引き裂くように脱いだ。ルフィの命の変わりに差し出した腕が・・・

「気味悪いか・・」月を背にしているシャンクスの表情は、見えなかった。

そんな事・・微塵も感じてないよ・・あたしには今も見える・・シャンクスの左腕が・・・。


あたしは黙って上半身を持ち上げ、ブラウスのボタンを外した。

立ち上がりスカートも床に落とし、下着姿になる。

シャンクスの左の肩口に顎を乗せ、キスをして囁いた。

「ココから先は・・シャンクスが・・脱がせて・・・」

「ああ・・わかったよ・・」優しい声。

肩紐に指をくぐらせ落としていく、背中のホックを外されると
プルンと自由になった胸が露わになる。

静かに身体を横にされると、シャンクスの顔が近づいてくる。小鳥がついばむような、触れるだけのキスを楽しんでる。

しだいに角度を変えながら割り入れられた舌は、あたしの舌を捕まえた。

絡ませては吸われ、口の端から銀の糸が落ちる。こんな・・キス・・初めてで・・もう・・身体が反応していた。

シャンクスの大きな手で掴まれた乳房は、その動きに合わせて形を変えられ、先端は親指で押しつぶすように遊ぶ。

「んっ・・」思わず短く喘いだ。

「感じるか・・」「いゃ・・そんな事・・」

「恥ずかしいか・・だったら身体に聞いてやる」

言葉の愛撫も加わると一層、身体は熱を帯びる。

絞るように掴まれた乳房の先端に、唇が近づき強弱を付け吸われた。

甘噛を繰り返されると、まだ触れられていない下半身を揺らし、下着に染みを作った。

「はぁはぁ・・シャンクス・・」

あたしは何を求め喘いでいるのだろう、この邪魔な小さな布のを早く取って欲しい。

それを口に出さないように、唇を噛み締める。
でも・・そんな事は幼い頃から見てきたシャンクスには、見抜かれていた。

歯で布を加えると、そのまま剥ぎ取るように下ろした。

「キャッ!」小さな悲鳴。

それでも秘部には触れず、乳房に舌を這わす。

「あっ・・・あっ・・あっ・・」

太ももを擦り合わせ腰を揺すると、羞恥の水が溢れ出し、淫靡な音を奏でた。

布で抑えられてた愛液も今はダイレクトに流れてしまい、真新しいシーツに染みが広がる。

たまらないく乳房にある赤い髪をグチャグチャに乱してしまう・・・

「月明かりの下で喘ぐお前は・・妖艶だな・・クミ・・」

見られてる・・
シャンクスはあたしを見てる・・

でも今は羞恥心より快楽に溺れたくて、足を開いた。

「もっと・・見せてみろ・・」言われるがままに大きく開いた。

熱を集め腫れあがった突起を、冷たい空気が撫でる。

花弁を左右に分け、尖らせた舌が舐めあげた

「あっぐっ!」電気が突き抜けていく。

思わず閉じようとする足に、身体を割り入れられ固定された。

再び舌の洗礼を受けると激しく腰を上下させ、透明な液を飛ばした。

「いゃぁぁぁぁ!!イっちゃ・・・!」

長い愛撫の末エクスタシィに導かれて、動けない・・

「ぁぁぁ・・・」うわ言のように子宮の痺れに酔っていた。

「まだだよ・・」優しい口調とは違う激しい行為。

大人の男の香りが漂う。

後ろを向くように命じられる、ズルズルと身体を引きずり、四つん這いになった。

上半身を押さえつけられより、お尻が高く上がる。

シャンクスの目に映るのは、イッタばかりでまだ・・ヒクつく花弁。

「シャ・・ンクス・・恥ずかしい・・」 「こんなに身体は求めているのにか?」

ゴツゴツとした指は秘部を滑らかに滑る。

「ぁぁ・・」浅い位置に指を侵入させ中をかき回した。

両手でシーツを鷲掴みにして悶える

「ぃゃぁ・・・」



ズンッ!一瞬にして身体を射抜かれた。

「あっぁぁぁ!!」

それでも決してあせらず、中の温度と感触を楽しむかのように・・ゆっくりと動き出す。


蜜を絡めたシャンクスの雄はあたしを弄ぶ、ギリギリまで追い詰めては動きを止める。

「ぁぁ・・イカせて・・」

限界まで膨らんだ風船は今にも弾けそうだった。

ズル・・静かに抜かれる。

ベットを背に体勢を変えた。「疲れた・・自分で来いよ」

あぐらをかき、ベットサイドに置いてあった酒を一気に煽ってる。

あたしにも動く力はあまり残ってなかった。でも・・シャンクスの、いきり勃ち光る雄を目にした。

そして・・ゆっくりシャンクスを飲み込んでいく。

「くぅ・・・」キツイ程中で膨張してる。腰を掴み、動くように促した

ギシ・・ギシ・・ギシ・・上等ではないベットが軋む。

「どうだ・・感じるだろう・・」もう逆らえない・・

「おかしくなりそう・・シャンクス・・おかしくなるっ!」

髪を掴まれ激しいキスを浴びる。何度も下から突き上げ続けられる。

中の痙攣が始まり声も出ない。目の前が真っ白になった・・・。

「イケッ・・・」

耳を甘噛みされて、ニヤリと笑う顔をうっすら見て、意識を手放した・・・・・


指一本も上がらぬほどの悦楽の夜だった・・・。







あの夜から5日程たった。

明日シャンクス達は又、航海に出ると・・聞いた。悲しくて・・見送りにはいかれないだろう。

10年前の別れとは違う。今は・・心同様、身体もシャンクスに奪われている。


でも・・逢いたい・・

少し離れた所で船を見ていた。なのに・・・。

「クミィィィィィl!!」耳を突き刺すような声であたしを呼ぶ。

「こんな所にいたんですか・・」振り向くとベックマンっ!!

「親方!!いだぜっ!!」 「サッサと連れて来いっ!!」

片手であたしをヒョイと持ち上げて、船に歩き出す。

「何?何!なんなのぉ〜〜〜!」笑ったままベックマンは答えない。


「連れてきたぜ・・」トンとシャンクスの腕の中に落とされた。

「まったくっ!出発が遅れるだろうがぁ〜ガキッ!」「なっ・・なによぉ!!」

又膨れるあたしに、耳打ちした。

「俺の女・・だろが・・」 「えっ・・」

「オイ!お前達!『俺の女』だ、手出したら海に沈めるからなっ!ガハハハッ!」

「出航だ!!!!」




もう・・待たなくていいんだね・・
ずっと・・一緒にいられるんだね・・・

ねぇ・・シャンクス・・・




町が小さくなり・・水面がキラキラ輝いてた・・・・。





END