-異能者2-

「な・・・・有馬、今何て言った!?」
昼休み、学校の屋上で昨日の出来事を話した俺に光男はビックリして大声を出した。
「だから〜・・・どうやら俺に透視能力が備わったみたいなんだよ。あの後母親の見たくない下着姿まで見ちゃったんだぞ・・・。」
「そ、それってマジなのかっっ!?」
あまりにも興奮しているのか、奴の声が震えている。
「さっきから何度もマジだって言ってるだろうがっ。」
俺の返事を聞いて光男は益々興奮し顔まで真っ赤になっていた。
「すっげーーー!!身近にエスパーが出来ちゃったよ!!」
などと言いながら何度もその場で飛び跳ねる仕草をする。
「おい、喜んでる場合かよ。俺に取っちゃ大事件なのに。」
「す、すまん!こんな事滅多に体験できないからついつい・・・。」
ごほんと一度咳をすると、光男はわざと落ち着いた口調で質問をし始めた。
「有馬、今も着ている服は透けて見えるのか?」
「・・・あぁ、お前も俺もトランクス一丁だよ。」
「じ、じゃあ俺の履いてるトランクスの柄は?」
「試してんのか?・・・まぁいいや、お前が履いてるのは水玉模様の
トランクスだ。青地に白だな。・・・どうだ?」
「すげーーー!!その通りだよ!やっぱり見えてるんだな!」
「いちいち大声で驚くなよ。」
「ご、ごめん。しっかし階段から落ちて能力に目覚めるなんてマンガだなー。」
「マンガだったらどんなに良いか。こんな能力、中途半端で格好悪いよ。」
「何言ってんだよ。学校じゃ女子の下着姿見まくってる癖に。」
う、そういわれると・・・。朝から飽きる位下着姿の女の子を見ている。見ているというか、見せられている。それを考えると悪い気はしないが・・・。
「でもやっぱり中途半端だよなぁ。普段は普通に見えて、集中すると透けて見えるとかだとエスパーっぽいのに・・・」
「なぁ有馬、その能力を最大限に利用しないか?」突然光男が意味深な言葉を言う。
「最大限に利用・・・?」
首を傾げる俺に、光男は少し悪意のある笑顔を見せると放課後まで待てと言い、そのまま教室に戻っていった。

-そして放課後-
光男はすぐに俺の所に来ると有無を言わさず腕を引っ張り、足早に下に向かう。
そして俺達は一つのドアの前にたたずんでいた。
「おい〜、ここって保健室だろ?何かあるのか?」
俺の言葉に光男はニヤニヤとにやついている。
「光男・・・お前、何か変な事考えてないか?」
「有馬は保健の先生知ってるか?」
「それ位知ってるよ。今年25歳で結構美人だって噂だけど・・・。」
「あぁそうだ。今年に入って前の保険医と入れ替わりに来たんだよな。」
「だからそれが・・・・」
言いかけて言葉を飲み込んだ。光男が俺の様子に気が付きにやりと笑う。
「なぁ、お前は先生の下着姿が見えるよな?」
「あ、あぁ・・・多分。」
何となく口の中がカラカラになっていく。
「もしかしたら、集中をすればもっと見えるかもしれないぞ?」
「え、えぇ?」
まさかそれを試すのにここに・・・?
「もう少ししたら校内の生徒もいなくなる。その後二人で保健室にもぐりこむんだ。」
「だって・・・先生も帰るんじゃ・・・?」
「病気の生徒をほっぽらかして帰れるか?」
「そ、そうだな・・・。」
「よし決まりだ。それじゃ少しの間時間を潰そうぜ。」

・・・30分後、俺達はまた保健室の前まで歩いてきた。周りに生徒らしき人影は無くなり辺りは静まり返っている。
「よし・・・行くぞ。」
「お、おう・・・。」
コンコン。
「はい?何か用?」
「あ、あの・・・ちょっとお腹が痛くて・・・休ませてもらえませんか?」
光男が苦しそうな声を出すとその途端にドアが開き、中から肩までの髪を揺らせた女性が顔を出した。少し切れ長の目のかなりの美人だ。
「どうしたの?腹痛?」
「は、はい。さっき帰ろうとしたら急に・・・。」
光男は迫真の演技で苦しがる。
「それは大変だわ。さ、入って横になりなさい。」
女医はすぐに俺達を中に入れ、光男をベッドに寝かせると薬だなを物色し始めた。
「あなた達運が良かったわね。今日は宿直の先生が都合で駄目になったからわたしがここに泊まる日なのよ。」
「へぇ・・・そうなんですか。」
そういいながら後ろを見ると、光男はラッキーと言わんばかりの表情をしている。
俺は俺で薬だなに向いている女医の後姿をまじまじと眺めていた。
今日の下着は上下とも黒のレース。パンティにいたっては両側が薄いシースルーみたいなっていて肌が一部見えている。
俺は先生に知られない様に光男に見えている光景を全部話した。
『黒のレース!すげーセクシーじゃん。有馬、そのまま集中してみろよ。』
言われるままに集中をして先生の下着を見つめていると、なんと下の肌がじわりと浮き出て見えそうになってきた。
も、もう少し・・・・!
「これでも飲んで暫く寝ていなさい。」
後もう少しの所で先生が振り返る。俺は慌てて目をそらし下を向いた。
「すみません・・・。」
光男はいかにも苦しそうな顔で薬瓶を受け取る。こいつ、演技部でもないのに上手いな。先生はそのまま近くの机に座ると書類をぱらぱらと眺め始め、暫くは静かな時間が過ぎていく。
その間も俺は先生の下着姿をずっと観察し、詳細を光男にそっと伝え続けた。
胸はかなり大きい。ブラのちょっと上に少し大きめのほくろが一つあるetc・・・。
そんな中、光男の様子が少しずつ変化してきた。どうやら、さっき先生にもらった薬が本気で効いてきたようだ。
「やば・・・有馬、俺マジで眠いわ・・・。」
「おい、今お前に寝られたら俺は後どうすればいいんだよ。」
「ごめ・・・・」
そこまで言ったかと思うと光男はすぐに目を閉じると全く動かなくなってしまった。
「お、おい光男・・・!」
なるべく小声で体をゆすって起こそうとしたが光男は爆睡状態に入っている。
「ん?眠っちゃった?」
その様子に気が付いたのか、先生が書類から目を外し視線を移す。
「はい、薬が効いたみたいです。爆睡してますよ。」
「あはは、ちょっときつい薬だから後数時間は寝たままよ?あなたは帰る?」
ど、どうしよう・・・。でもこのまま帰るのも惜しい・・・。
「いえ、こいつが起きるまで僕もここにいるつもりですから。」
「まぁ、仲が良いのね。」
先生はクスリと笑うと再び書類の方に目を通し始めた。

『仲が良いというか・・・まぁ目的は別なんだけどなぁ。』

先生の横顔を見ながらそんな事を考える。
そして何とは無く机をぼ〜っと見ていると、引き出しの中身が薄く浮き上がってくるのが判った。
『こうなったら力のトレーニングでもするか。』
光男もあと数時間は起きないらしいし、せめて時間を有効に使わないと。
俺はさっきよりも集中し先生の座ってる机を見つめ続けた。
『お、かなり見えてきた!もう少し・・・。』
徐々に小物が浮かび上がる。
セロハンテープ・・・ボールペン・・・予備の絆創膏・・・教科書・・・
さすが保健の先生が使ってる机だ、それ関係の小物ばかりが入っている。
そして俺は何気なくそのまま先生に視線を移した。
『うお!!!』
・・・さっきまでは下着までしか見えて無かったのが・・・今は裸だった。
『・・・ラッキー・・・・。』
集中をしたまま視線を移せば他の物ももっと透けて見えるらしい。
俺は心の中で思わず「レベルアップ!」と叫んでいた。
「どうかした?暇なら図書館で本でも読んできたら?」
「い、いえ!だ、大丈夫です。はい。」
こんな時に図書館なんて行ってられるかっ。
「さっきから変ね?」
先生は心配そうに言うと俺のおでこに手をあてた。
「あなた、熱があるんじゃない?薬だそうか?」
『ぐはぁ!!む、胸が・・・・!』
Dカップはあろうかと思う裸の胸が今目の前にある。おまけに先生の髪の良い匂いが・・・・や、ヤバイ。下半身の一部が痛くなってきた。
「いてて・・・。」
「痛い?何処が痛いの?」
「あ、いや、その・・・。」
・・・待てよ、今光男は寝ているし校内には誰もいない・・・
『ちょっとからかってみようかな。』
普段こんな事を考えるような俺じゃない、けどここの雰囲気と能力がいつもの俺とは違う考えを起こしてしまったようだ。

                    続く