文化祭


 9月始めの文化祭で、俺のクラスはお化け屋敷をやることになった。お化け屋敷の目玉は宙に浮く幽霊に決まり、みんな盛り上がっていた。しかし、協調性のない俺は、クラスの話し合いにも参加せず、勝手にやってくれと思っていた。
 
 それがいけなかったらしい。気が付けば、俺は、クラスで一番ブサイクの女を持ち上げる役に決まっていた。
 宙に浮くと言っても、教室の天井に滑車などつけられないから、幽霊役の女子を後ろから男子が持ち上げて動き回るという仕組みだったのだ。
(くだらねぇ…。)
俺のやる気は完全に消え失せた。もともとなかったのだが…。
 
 演劇というわけではないから、特に事前に練習することもなく、俺は文化祭の準備から逃げ、結局そのまま当日を迎えた。
「よろしくね。藤沢くん。」
ブスが微笑みかけてくる。
「ああ…。」
(幽霊のメイクなんかしなくても、十分化け物だぜ。)
俺は、そいつのメイクをちらっと見て、思った。
 
 俺の出番は午後1時から3時までの2時間だ。午前中憂鬱な気持ちで過ごした後、お化け屋敷となっている教室へ行った俺は、衣装係の女子から渡された黒い布を足に巻き付けた。要するに黒子になるわけである。教室に張りめぐらされた暗幕のせいで、周りはほとんど見えなくなり、俺は真っ暗闇の中で定位置につく。横の幕の影から、白い布をすっぽりとかぶり、長い黒髪のカツラをかぶった幽霊役のブスが入ってきた。と言っても、暗かったので、ほとんど何も見えなかったから俺は、手探りでその布の中に潜り込み、ブスの背後についた。
(なんだよ…。ブスのくせしていい匂いしてやがる。)
香水なのかどうかはわからないが、俺が潜り込んだ布の中は、ほのかに甘い香りがしていた。
「あっ……来たよ。」
「えっ?」
ブスの声じゃない。俺は驚いたが、とにかく客が入ってきたのだからと、誰だか分からない女子の腰を高く持ち上げ、客を追いかけた。
「キャー。」
客の悲鳴が聞こえる。こんなばかばかしい幽霊でも、一応怖いらしい。
 再び定位置に戻った俺は、布から顔を出し、前の女子の顔をのぞき込んだ。
「誰? ギャア子じゃねえの?」
ギャア子とは、ブスのあだ名だ。
「えっ、誰?……藤沢くん?」
暗がりに目が慣れてきた俺の目の前にいたのは、恭子(きょうこ)だった。恭子もまた、背後が俺だったことに驚いていたようだ。
 
 どうやら、俺は時間を間違えたらしい。どたばたしがちな文化祭当日に、俺が時間を間違えたことなど、誰も気が付かなかったのだ。
「え…あの……。」
恭子が何か言おうとしたとき、客が近づいてくる声が聞こえた。
「しょうがねぇ、このまま続けるぞ。」
俺は小さな声でささやくと、再び布の中に潜り込み、恭子の腰を持ち上げた。
(マジかよ…。恭子だったなんて…。)
持ち上げているのが恭子だと分かったとたん、いまいましく思っていた甘い香りが、心地よくなったのが不思議だ。
 恭子はクラスでも1・2を争うほどのかわいい子だ。俺も密かに憧れていて、オナニーの肴にしたことが何度もある。
(腰…細ぇ…。)
恭子を持ち上げ、客を追いかけながら、俺は無意識のうちに、恭子の背中に顔を押し付けていた。
 
「何か…抱きついてない…?」
待機する位置に戻ってきたあとも、躰を離さない俺に、恭子が小声で話しかけてくる。
「全然…抱きついてなんかねーよ…。この中狭いからさぁ…。」
嘘だった。ブスギャア子だと思っていたときには、くっつかないように細心の注意を払っていたのだが、恭子と分かった今は、このチャンスを逃すはずがない。俺は、ここぞとばかりに、恭子に躰を密着させていた。
「や………んっ……。」
俺が腕に力を入れた瞬間、恭子は小さな声をあげた。
(嫌なら嫌だって分かる声をあげろよ。そんな声出しやがって。)
恭子が嫌がっているのかどうか分からないまま、俺の股間は、恭子の甘い声に反応してしまった。
(恭子の…おっぱい…触りてぇっ…。)
手を少し上にずらせば恭子のおっぱいがある。暗闇で、しかも布の中で恭子を背後から抱きしめている俺は、密閉された空間にいた。
「ちょ……藤沢く…。」
恭子は慌てて俺の手をつかんだ。しかし、その力は弱く、俺は拒まれていないような気がしたのだ。
むにゅっ…
(すげぇ…結構でかい……。)
薄手のTシャツを着ていた恭子のおっぱいをそっとつかんだ俺は、恭子のおっぱいが思ったよりも大きいことに興奮し、ゆっくりと揉み上げていく。
「や……あんっ……。」
布の中に入っている俺には、首から上を布から出している恭子の表情はもちろん見えないが、その小さな声を聞く限りでは、きっと色っぽい顔をしているのだろうと思った。
 
 その時、次の客が近づいてきた。恭子が俺の腕をたたいて、それを教えようとする。俺はもちろん、客なんてどうでもよかったが、お化け屋敷の目玉である幽霊が出てこないと分かれば、クラスメイトが来るかもしれない。俺は、仕方なく、恭子の胸から手を離して、幽霊の仕事をすることにした。
「ぎゃっ!」
客は短い悲鳴をあげ、逃げていったらしい。
 俺は、遠くなる客の声を聞きながら、恭子の躰を再び抱きしめ、恭子のTシャツの中へ手を入れた。少し汗ばんだ恭子の肌に俺の手が触れると、恭子はかなり慌てて俺の手をつかもうとしたが、布の上からでは、うまくつかめないようで、結局、俺はすんなりと恭子のブラジャーに覆われたおっぱいに行きついた。
「だ…め……あぁっ…。」
恭子の小さな声が、色っぽい。俺はブラジャーをずり上げて、恭子のおっぱいを直につかんだ。
(やわらけぇっ…。)
俺の手のひらで、恭子のおっぱいが柔らかく形を変えていく。
 
 恭子は大声を出して助けを求めることもできたのだろうが、どうやらそれをためらっているらしい。
「助け……呼ばねえの?」
布の中から俺がつぶやくと、恭子は首を振ったようだ。
「みんなにばれたら……恥ずかしいもん…。」
要するに、俺におっぱいを揉まれるよりも、他のクラスメイトに事を知られる方が恥ずかしいということらしい。
 俺は恭子の返事を聞いて、ますます調子に乗ってしまった。恭子のおっぱいを激しく揉み、乳首をこりこりとつまんだり、先端を押し込んだり、無法地帯となった布の中で、恭子のおっぱいをもてあそび続けた。
「んっ……あぅっ……はぁっ……。」
恭子の唇から、甘いあえぎ声が漏れ始め、俺は恭子のブラジャーのホックを外した。
 客が入ってくるたびに、恭子は手を後ろにまわし、俺の太ももあたりを何度もたたく。俺はそれを合図に、仕事をし、それが終わるとすぐにおっぱいに手を這わせていた。
 
 俺におっぱいを揉まれ続けた恭子の躰から力が抜け、恭子は幽霊の仕事をするとき以外は、完全に俺に躰を預けている。
 俺は、たまらなくなって、恭子の躰の前に移動した。
「あっ……や…やだ……。」
拒否の言葉とはうらはらに、恭子は布越しの俺の頭に両手をあて、俺を受け入れている。俺は、恭子の乳首を舌でぺろぺろとなめたあと、何度も吸い付いた。恭子の躰がびくん、びくんと反応し、小さな吐息が漏れている。
「気持ちいい?」
俺が聞くと、恭子は布で隠れた俺の耳に顔を寄せたらしい。
「う…ん…。」
耳のすぐ近くで、小さな声が聞こえてくる。
「こ…こんな…の……はじめて……んっ…気持ち…いい……んんっ…。」
ちゅっ…ちゅぱっ…ちゅぱっ…
俺は音を立てて恭子の乳首を吸いながら、恭子の股間に手を這わせた。ジャージ越しの恭子の丘をゆっくりと撫で、指先に力を入れて、恭子のクリトリスの辺りに指を押し込む。
「はぅっ…はぁっ…はぁっ…」
恭子は俺の頭を抱きかかえて、快感に耐えていた。
 
 客足が途切れたこともあって、俺は自分の行動が止められなくなり、とうとう恭子のジャージの下、さらにショーツの下へと手を挿し込んだ。
「や…んっ……ふ…ふじさ…わ…く…んっ…。」
恭子は俺の耳元で俺を止めようと声をかけるが、俺の動きはとめられない。恭子のヘアのざらっとした感触が指にあたったあと、熱を帯びたように熱い、ねっとりとした部位に指を滑り込ませた。
「すげぇ…濡れてる……。」
恭子のあそこはぐちょぐちょに濡れていた。俺のちんぽがぎんぎんに反り立つ。
「ちんぽ入れてぇ……。」
にちゅっ…にちゅっ…にちゅっ…
俺は、指で恭子のあそこをなぞりながら、恭子に訴えた。
「だ……だめ…はぁっ…はぁっ…。」
恭子は荒い呼吸を繰り返しながらも、最後までは許そうとしない。
 
ぐちゅぅぅっ…
俺は恭子のあそこに人差し指と中指を挿し込んだ。もう俺を止めることなどできない。許してくれないなら、無理矢理にでも最後まで持ち込むつもりだった。
「はぅっ……だ…だめ……抜い…てぇ…。」
恭子はもう立っていられないほどに、足をガクガクさせている。
ぐちゅっ…ぬちゅっ…ぐちゅぅっ…ぬちゅっ…
俺は恭子の言葉など聞く耳を持たず、指を抜き挿しし続けた。恭子の愛液が、どんどんあふれてくる。
 
「交替だよ。」
俺と恭子は一瞬びくっとなった。クラスメイトが交替を告げるために、暗幕の中に顔を突っ込んできたのだ。幸い、暗闇に目が慣れていない様子のそのクラスメイトは、俺たちの行為に気が付かず、そのまま行ってしまった。俺は、布の中から顔を出すと、恭子を担いで暗幕の中から出た。
「どうしたの?」
暗幕の外に立っていたクラスメイトは、俺が恭子を肩に担いで出てきたので、ずいぶんと驚いたようだ。
「いや、ちょっと気分が悪いって言うから、このまま保健室に連れてくわ。」
俺は平然を装って、クラスメイトに言い捨てると、早足で恭子を連れ、教室を出た。
 
 当然、保健室などには行くつもりはなく、俺はそのまま文化祭で使われていない階のトイレに恭子を連れ込んだ。
「だめ…藤沢くん…。」
恭子は俺を制そうとするが、俺はトイレの一室に入ると、鍵をかけ、布の中に入り込んだ。明るいトイレ内では、布の中でも恭子の躰がよく見える。
 
 Tシャツをめくり上げ、ジャージとショーツを乱暴に脱がせると、自分のジャージとトランクスもずり下ろした。
 俺のちんぽは今までにないほど勃起している。俺は恭子の片方の太ももを腕に抱えると、ぐちょぐちょに濡れた恭子のあそこに、ちんぽをぶち込んだ。
「ひっ…んっ…。」
ずちゅっ…ぬちゅっ…ずちゅっ…ぬちゅっ…じゅぷっ…じゅぷっ…
「はぁっ…はぁっ…」
俺は息を切らせながら、夢中で腰を突き上げた。恭子のあそこがいやらしい音を立ててちんぽをくわえている。
「さいこー…気持ちよすぎ……はぁっ…。」
「あぁっ…だ…だめって……言ってるのにぃ…あぅっ…。」
口ではだめだと言いつつも、恭子のあそこは大喜びしているように見える。
 
 滴るほどの愛液が、恭子の肉壁の感触を柔らかくし、俺のちんぽはじゅぷじゅぷと恭子に吸い付かれているような快感を感じていた。
「中に…はぁっ……出したい……。」
俺は無理だと思いつつ、恭子に言った。恭子はしばらく考えてから、
「う…ん…。」
と答えた。その言葉を聞いた俺は、もう夢中で腰を突き上げ、Tシャツからはみ出した恭子のおっぱいに吸い付いた。
 
 やがて俺の下半身が小さく痙攣し始め、俺はつま先に力を入れた。
どぴゅっ、どぴゅっ……どぴゅっ…
俺は恭子の体内に精子をぶち込んでいた。何度も腰を突き上げて、一滴残らず吐き出すように。
 生で中出しという危険な行為を、俺は何のためらいもなく本能のままにやり遂げてしまったのだ。
「はぁっ…はぁっ…く…くせに…なりそ…はぁっ……」
俺は最高の快感の余韻にひたりながら、ちんぽを引き抜いた。恭子の太ももに、白い精子がどろりと垂れる。
「ば…か……。」
恭子は、そうつぶやいたまま、トイレの壁にもたれかかり、布の中から顔を出した俺を見上げた。
 幽霊のメイクをしているというのに、恭子の顔は最高にかわいかった。
 
 あとで俺は、本来、恭子を持ち上げる役だった友人にさんざん怒られた。と言っても、そいつもまた、時間を間違えていたために、ブスギャア子の相手となっていたらしく、こともあろうに、恭子と勘違いして、ギャア子のおっぱいを触っていたらしい。
 ギャア子相手にどこまでやってしまったのかを、決して言わない友人に、俺もこの秘密を話すつもりはない。
 ましてや、あれ以来、ときどき恭子とトイレでセックスしているなんて、口が裂けても言えないのだ。


終わり

作:Jacky中村