「相変わらず広い家だっちゃね〜・・。」
ラムは周りをキョロキョロしながら終太郎に付いて行く。
面堂の家は「面堂財閥」と言うだけあり、その広さは半端じゃ無い。
もう数分こうやって廊下を歩いていた。
「さ、着きましたよラムさん。どうぞ。」
終太郎にうながされ中に入ると、いかにも金持ち趣味の
豪華な部屋に通された。
高そうなシャンデリアや骨董品が所狭しと置いてあり
ソファーには細かい刺繍のクッションがいくつも
飾られ、壁に飾ってある絵画も有名なものばかりだった。
「遠慮しないで座って下さい。おい、ラムさんに飲み物を・・」
終太郎は近くのメイドにそう言いソファーに座った。
そして他愛のない話を暫くすると、突然思い出した様に
近くの暖炉の上にあるブレスレットをラムに差し出した。
「・・・・何だっちゃ?これ。」
ラムの質問に、終太郎は少し照れた様にして話し出す。
「これは、いつかあなたに差し上げようと僕が特別に
職人に作らせた物です。どうか受け取って頂けませんか?」
「でも、うちと終太郎は恋人でも何でもないっちゃ。」
いくら何でもこんな高そうな物を面堂から貰う言われは無い。
ラムはさらりとかわした。
「・・・いえ、ただあなたに貰って欲しいんです。これを渡したから
恋人になってくれなんて言いませんよ。」
面堂はクスッと笑うとラムの手を取り、ブレスレットを通した。
「・・・?」
だが、それを付けた途端にラムの中から何かの力が抜けていった。
『この感覚はなんだっちゃ?』
変だと思いつつ外そうとすると、何故か腕にピッタリとはまり
どうあがいてもそれは外れなくなっていた。
「!?終太郎!これはどういう・・・!」
そして面堂の顔を見た瞬間ラムの動きは固まってしまう。
それはいつものフェミニストな顔ではなく、下卑た笑顔を浮かべる終太郎の姿だった。
「ふふ。ラムさん、上手く引っかかりましたね。・・今までは
諸星が邪魔で手が出せなかったが・・これで僕の物に出来る訳だ。」
な、なに?何を言ってるっちゃ?
ラムは慌てて飛んで逃げようとした。だが体が重く何故か浮かび上がれない。
次に電撃を出してブレスレットを焼き切ろうとしたが電撃も出なくなっていた。
ブレスレットがラムの全ての超能力を封じていた。
「終太郎!早くこれを外すっちゃ!」
力が使えなくなり、怖くなったラムは面堂に詰め寄る様にして怒鳴った。
「ははは、外すなんてそんな事出来ませんよ。・・いや、出来ても
外すつもりはありませんね。それにしても邪教の作った道具は実に効く・・・・。」
嬉しそうに言いながら面堂はラムににじり寄ってきた。
今、超能力が封じられているラムはその辺の女の子と変わらない。
恐怖の表情を浮かべ、ラムは後ずさりをするしかなかった。
「あぁ、ラムさん。言い忘れましたが・・・。」
ラムが部屋の出口に差し掛かると、上から煙の様なものが左右から噴出してきた。
「な・・・!あ・・・。」
その煙を吸ったラムは崩れる様に倒れる。
「・・そこには眠りガスが仕掛けてあったんですよ・・?あぁ、もう遅いか。」
倒れているラムの体を支え、抱き上げると終太郎はにやりと笑って部屋を出て行った。
「ん・・・?」
眠りから覚めたラムは自分の両手がそれぞれ上に向かって
縛られているのに気が付き慌てて辺りを見回した。
そこは暗く湿っており、目が慣れてくると古い家具が置いてあるのに
気が付く。もう何年も使っていない地下室の様だった。
「やぁ、やっと目が覚めましたか。」
声のする方に振り向くと、終太郎がにこやかな顔で上の階段から降りてくる所だった。
「ここは何処だっちゃ!?何でこんな事するっちゃ!!」
半ば泣きそうな顔でラムは叫ぶ。
そんなラムの顔を満足そうに眺めると、終太郎は静かに部屋に入り
持ってきた食べ物を近くにある机の上に置いた。
「言ったでしょう?あなたを僕の物にする為です。」
「お前の物になんか一生ならないっちゃよ!」
そのセリフに間髪を入れずラムは反抗する。
「ははは・・・その気の強さが好きなんですよ。」
終太郎は笑いながらそっとラムに近づくとひざまずき、あごを持ち上げ口付けをした。
「!?」
いきなりの事にラムは驚き、縛られている手をバタバタと動かした。
ちゅく・・・。
ラムの反応を楽しむかの様に目が笑うと、終太郎は舌を入れ
ディープ・キスを繰り返した。
「ん・・・ん・・」
ラムの目からは涙が流れていた。
いくら次元が違う世界でも、面堂にこんな事をされるとは・・。
真面目なあたるがあの時何を言おうとしたのかが判り
自分の不甲斐なさに涙が溢れて止まらなかった。
終太郎のキスは執拗に行われた。
ラムの舌を吸い、口の中を舐め回し、唇を何度も吸い尽くした。
「も・・・・やめ・・・・」
長いキスにラムがぐったりすると、今度は首筋に唇を這わせ始める。
「・・・ダーリン、ごめんだっちゃ・・・・」
もう大声を出す気力も無くなっていたラムは小さく呟いた。
続く