浅倉南……容姿端麗、成績優秀、スポーツ抜群。国民的アイドル。
上杉達也……天才的素質はあるものの努力しない。弟思いのいい兄貴。
上杉和也……努力型の天才。モテモテ。しかし甲子園を目の前に交通事故で死亡。


「達っちゃん、一緒に帰ろ」
 めずらしく、南が誘ってきた。練習後、メンバーと一緒に帰る予定だったが、思うところがあって一人で帰ることにした。
 お前らしくないぞ、と言われたが、どうしても今日は一人で帰りたかった。そういう気分だった。
「どうしたのよ。深刻な顔しちゃって……達っちゃんらしくないわ」
 南は自転車を押しながら、達也の顔を覗き込む。
「なあ、南……」
「なに?」
「おれ、このままでいいのかなあ。今のまま明青を甲子園まで引っ張ってゆく自信ないよ。みんな、甲子園のことで頭いっぱいだけど、そんな簡単なもんじゃない。甲子園って……」
「達っちゃんがそんな弱気でどうするのよ。エースでしょ。がんばらなきゃ」
 南は微笑んで、達也の肩を叩いたが、達也の顔は沈んだままだ。
「実はおれ、野球を辞めようと思ってる……」
 今の言葉を聞いて、一瞬凍ってしまった。
 今までも達也から弱音を聞いたことがあったが、冗談任せからだった。
 しかし、今は違う。達っちゃんのこんな悲しい顔見たの、初めて。
「何があったの!」
 南は達也の前に立ちはだかり、目に皺を寄せ、真剣な顔で訊いた。
「……おれ」
「達っちゃん」
「最近、妙に握力がなくなったんだ。それで、おれ、病院へ行って診てもらったんだ。……すると、先生から言われたよ。このままだとボールが握れなくなるって……」
「どうして?」
「原因は分からない。野球をやる人の運命的なものだって。手術すれば直るらしいんだけど、何百万もかかるし、第一、1年近く野球ができなくなるって……」
 達也は泣いていた。南も達也の泣いている顔を見て、自分も悲しくなり、涙が頬を伝う。
「和也のためにも、そして南のためにも、おれ、どうしても甲子園に行きたい。行って優勝したい。その気持ちは、他のナインの誰にも負けていない。でも、こんな身体じゃ……おれ、ほんと、悔しくて、悔しくて……」
 達也は手を握りしめ、額を叩いた。
「達っちゃん!」
 南は達也に抱きつき、顔を胸の中に埋めた。
 達也のためになんとかしてやりたい。
 でも、どうしようもない。
 自分は新体操できるけど、それが達っちゃんのために何になるっていうの。
「南……分かって欲しいんだ。野球を辞めて、どこか知らないとこでひっそりと暮らすよ。この街へは戻らない。ううう」
「達っちゃん」
 南は神様を恨んだ。
 こんなに頑張ってる達也にむごい仕打ちをする神様を。
 もう新体操なんてできない。
 自分だけがブロードウェイを駆け上がるなんて。
 達也のそばにずっと付いててあげたい。
「達っちゃん、ちょっと山登ろうよ」
「えっ!?」
 南の突拍子もない言葉に達也はびっくりして、目を丸くした。
 南はにこやかに微笑んでいる。
「今日は晴れて、星空がきれいだし、きっと展望台はいい眺めよ」
「うん」
 達也もなんだか展望台に行って見たくなった。
 そこには夢のようなロマンがありそうな気がした。

 2時間くらいかかって、山の頂上までたどり着いた。
 外はすっかり暗く、虫の鳴き声がビロードのように滑らかだ。
 展望台に腰掛ける2人。
「見て、すっごくきれい」
「ほんとだ」
 空には星々が燦々ときらめき、チカチカと七色の光が右に左に揺れ動いては重なって、銀河の神秘を彩っている。
「わ〜れは行く〜♪青白き頬のままで〜♪……」
 突然、達也が谷村新司の昴を歌い出した。
「達っちゃん、下手〜っ」
「いいんだよ。下手で結構。すっごく歌いたくなっちゃった」
 南はにっこり笑った。
 達也も思わず、照れ笑いする。
「わ〜れは行く〜♪青白き頬のままで〜♪……」
 2人の合唱は山の中で、静かにこだまし、星々は2人の熱唱に虹色のエールを送った。

「南……」
「達っちゃん……」
 達也と南は手をギュッと握り、瞳を見つめ合う。
 唇同士が接近し、そして触れ合った。
 強くお互いを抱きしめ合い、舌同士が絡み、唇を吸い合う。
 2人は熱い本能のままに、お互いの着衣を脱がし合う。
 外は少し寒いが、今の2人にはお互いの体温だけを感じていた。
 南のブラジャーのホックを外すと、プルンと形のいいおっぱいが顔を出した。
「南のおっぱい、きれい」
「達っちゃんのバカ」
 おっぱいの先を舌で転がすように、チューチュー吸う。
「あっ……あああ……いい……」
「南のおっぱい、柔らかい」
「あああ……達っちゃん……」
 手をスカートの裾から入れると、南の大事なところに軽く触れる。
 そこは焼けるように熱く、こんもりと盛り上がった先は少し湿っていた。
「あっ……あああ……ううん……」
「南のあそこ、ちょっと濡れてる」
「いや……達っちゃん……そんな……恥ずかしい……」
 あそこを指で上下になぞると、南は身体をくねらせながら喘ぐ。
「はっ……ああ……気持ちいい……」
 すでにパンティの上からでも分かるほど、湿り気は水分を増していった。

「脱がせてもいい?」
「……」
 恥ずかしそうにはにかみながら、達也をチラッと見る。
 達也はパンティのゴムに手をかけ、ゆっくりと脱がせてゆく。
 脱がせ終わると、南の膝に手をかける。
「恥ずかしい……」
 南はボソッと呟くと横を向いた。
 膝はゆっくりと開かれ、南のあそこは顕わになった。
 しかし、暗くてはっきりとは分からない。
 黒い茂みが石ケンのような匂いを漂わせ、恥ずかしく揺らいでいた。
 達也はそんな南のあそこに顔を埋めようとする。
「だめ、達っちゃん」
「南」
「あたし……達っちゃんの顔をずっと見ていたいの。達っちゃんをずっと感じていたいの。南を1人にはしないで……」
 達也は南の顔に顔を寄せるとキスをした。
 キスをしながら、ズボンとパンツを脱ぎ、すでに勃起してパンパンに膨れあがった男根の裏側を南の割れ目の部分にあてがった。
 俗にいう素股のような形で、性器同士を接触させる。
「あっ……気持ちいい……」
「おれもだよ、南」
 南のあそこからは愛液がしとどに溢れ、達也もびっくりするくらい男根の裏側を濡らした。
 クチャ、クチャと嫌らしい音を立てている。
「ああ……はああ……あん……」
「南のあそこ、ヌルヌルだよ」
「いや、嫌らしいこと言わないで……」
「だって、ほんとだもん」
「……気持ちいいの、それ」
 南の足が達也の胴体に絡まってくる。
 性器の密着度が増し、お互いの性感を高める。
「南、気持ちいいよ」
「ああ、あたしも……ああ……」

「南、お願いがあるんだけど……」
「いいよ。分かってる」
「おれ、コンドーム持ってないよ」
「そのままでして……」
 南の顔は恍惚とはしているが、真剣だ。
 でも、さすがに生は恐かった。
「でも、子供できちゃったら……」
「そのときは新体操やめる」
「でもだめだよ、南は新体操続けなきゃ」
「達っちゃん、野球を続けてくれる」
 南の目が一瞬強い輝きを放ち、達也を射止める。
「……うん」
「じゃ、あたしも子供を生んででも、新体操続ける」
「南、好きだ!」
「達っちゃん!」
 2人はきつく抱きしめ合い、歯が触れ合うほど激しいキスをした。
 達也は南のあそこに男根をあてがった。
「いくよ」
「来て」
 ニュルッという感覚で吸い込まれ、処女膜に阻まれた。
 達也はゆっくり腰を押し出し、粘膜を引き伸ばしている感覚を味わう。
「あっ……いたっ……達っちゃん、いたいっ!」
「南、南っ!」
「いたいっ、いたあああ、ああぁぁぁ」
 ギュウウ、ブチン、というような感覚があって、気付いたときには奥まで南とつながっていた。
「南、入ったよ」
「達っちゃん、痛かったよぉ」
 泣いている南の額にチュッとキスをする。
 南がにこっと微笑んだ。
ジュポッ……ジュポッ……ジュポ……ジュポ……ジュポ……
 達也はゆっくりとグラインドし、破瓜後の粘膜をいたわる。
「あっ……ああ……ああん……」
「南、おれ、すごく気持ちいいよ」
「達っちゃん、好き……愛してる……」
「おれもだよ……死ぬほど好きだよ……」
 達也はグラインドのペースを速め、息を激しく泳がせる。
「ああ、南、おれ、もういっちゃうよ」
「ああ……達也……出して……ああ……」
 達也のペースが一段と速くなり、腰が快感で溶けるように気持ちよくなった。
「だめだ……南」
 腰を目いっぱい突き出すと、精一杯我慢していた力を抜いた。
ドピュッ……ドピュッ……ドピュ……
 子宮の中に熱い塊が爆裂し、暖かな感覚が下半身から全身に向かって拡がっていった。

 達也はしばらく南と抱き合ったまま、放心していた。
 やがて服を着て、お互い身を寄せ合うと、悲しい顔になった。
(おれは自分どころか、南の人生まで滅茶苦茶にしてしまうかもしれない。ああ、ほんと、何ておれはバカな奴なんだ)
 南が悲しむ達也の顔を見て、頬にキスをした。
 そのとき、流れ星が1つ、空から落ちた。
 落ちた途端、南と達也のまわりに光の粉が輪のように拡がった。
 光の粉がフワッと拡がり、達也の手に集まってくる。
 突然、達也の手が輝き出した。
 まるで2人は金色の野に立つ、伝説の勇者のようだった。
 淡い輝きは長い時をかけて、フェードしてゆく。
 夢のような出来事だった。
「ん、痛みがない」
「達っちゃん」
「手が……手が……」
 達也は試しに土を掴んでみる。
 力がみなぎり、土は手から押し出された。
「な、治った。治ったよ、南」
「達っちゃん、ほんと?」
 達也は南を抱え上げ、強く抱きしめた。
「奇跡だよ。奇跡」
「愛の力よ。あたしたちの」
「南、甲子園へはおれが絶対に連れてゆく!」
「愛してるっ!、達っちゃん」

END