ちびまるこちゃん……本名:さくらももこ、割とクールで醒めてるちょっと小憎い少女
たまちゃん……本名:穂波たまえ、まるこの親友、ロマンチックな眼鏡少女


<あれから5年が過ぎた>
まるこも中学校へ上がり、いろいろと悩み多い時期に入っていた。
親友のたまちゃんとは同じクラスでいつも一緒に登下校したりしていた。
今日もたまちゃんと一緒に家へ向かっていた。
「ねえ、たまちゃん、今度、遊園地行こうよ」
「うん、いつにする?」
「そうね、日曜日ってどう?」
「分かったわ、その日は大丈夫、何時に待ち合わせる?」
「9時に駅前で……」
「じゃ、また明日ね」
たまちゃんはまるこに手を振って、別れを告げ、そのまま家路へと背を向けて歩いてゆく。
まるこは、たまちゃんの背を見送りながら、微笑む。
昼下がりの人通りの少ない道……歩くまるこを見つめる鋭い眼光があった。

「うう、いつ見てもかわいいな……取って食いたいな……」
男はワゴン車をそっと走らせ、まるこに忍び寄ってゆく。
狙われているとは露とも知らず、細い身体を弾ませている。
細いとは言っても、年頃の女の子、出るところはしっかり出ている。
そんなまるこの前に、ワゴン車がいきなり、横付けしてきた。
バタン……ドアが開き、中からサングラスをかけた30前後の男がまるこに近づく。
「いや」
言い知れぬ不安を感じ、まるこは男に背を向け、駆け出そうとした。
「まあ、そう逃げなくたっていいだろう」
男はまるこの腕を掴み、ワゴン車のサイドドアを開け、中に押し込もうとした。
「いや……だ、だれ……」
そこで、男にハンカチで口を塞がれ、声が途切れた。
男は強引に、まるこをワゴン車に乗せると、持参の手錠で施錠した。
男のワゴン車が発進する。
(どうしよう、えらいことになっちゃった、まさかあたしが誘拐されるなんて……)
ワゴン車のサイドガラスはスモークされており、外からは判らない。
(な、なんとかしなくちゃ……このままじゃ、ほんとエライことに、ってもう十分えらいことになっちゃってるし……)
「あ、あの、こんなことしても捕まると思うし、あたし不細工だし……」
「うるせぇ!おれは捕まらねえ、捕まるもんか、命かけてやってんだぜ。それに、お前は不細工じゃない。めっちゃかわいいし、おれのタイプなんだ。分かったな」
(……ゲエェェ、最悪。思い込み激しすぎ。これ、マジ、やばいよ。なんとかしないと、もうすぐ街から出ちゃう)
「あ、あのう……」
「なんだ?」
「トイレ行きたいんですけど……」
男はクシャクシャになったスーパーのビニール袋を投げてよこした。
「そこでしろ!」
「……」
(信じらんない。この人、やっぱ頭おかしいよ。年頃の子がこんなとこで、おまけにこんな袋にできるわけないじゃない)
「手を繋がれるとできないんですけど……」
「しょうがねえな、そこで止まってやるから、おれが脱がせてやる」
(うそ、バカじゃないの。赤ちゃんじゃあるまいし、一人で脱げるって……失敗、トイレだと言って逃げる作戦はダメだわ)
「いい、なんかトイレ行きたくなくなった……」
「もし、トイレ行きたくなったら、言うんだぞ。黙って漏らしちゃだめだぞ」
(子供じゃないんだし、漏らしませんよーだ。それより、どうしよ。これから)
男の車は山に入ってゆく。
キキーッ
車が止まり、まるこを寂れたモーテルに連れて行く。入り口で鍵を手に取ると、タッタッタッと駆け上がり、205と書かれた部屋に案内した。
「とりあえず、ここに居るんだ」
さすがにまるこも恐くなり、ブルブル震えている。
(ああ、どうしよ、ほんと、このままじゃ……)
周りを見回すと、何もない。
男はベッドの上にしゃがみながら、じっと下を向いている、まともじゃない。
冷蔵庫を開けてみると、ビールやら日本酒のカップがあった。
(そうだ、これで、あいつを酔わしちゃって、グデングデンになったところで、バイバイぴょんて、よし、これでいこう)
まるこはビールを出すと、グラスに注いで男の傍へ持っていった。
「まあ、そんなに悩まずに、一杯どうですか?」
「ん?どういう風の吹き回しだ?えらく気が利くじゃないか」
「だって、暗い顔してるんだもの」
男はまるこの肩に手をかけると、グッと引き寄せた。
一瞬、身体が強張り、レイプの危険を感じ、顔が青冷めたが、男は強行には至らなかった。
グビグビと一気に飲み干し、まるこはさらに注いでゆく。
あっという間にビール瓶は空になった。
さらに、日本酒も勧め、男は狂ったように酒を平らげた。
(やり、これでこいつもグデングデン、まるこの接待ナンバーワン、さあて、ドロンすっか)
まるこが立ち上がろうとしたところ、男は手を取り、無理矢理、隣に座らせた。
(えっ、まだ何かあるの?よしてよ、ヘベレケ)
「なあ、ちょっとおれの話し、聞いてくれよ」
「えっ!?」
男は財布から、一枚の写真を取り出した。
写真には女の人と子供が一人写っていた。
「これはな、おれの女房だった女と息子だ」
(な、なによ、いきなり……そんなのあたしと関係ないでしょ)
「おれたちはほんと愛し合っていたんだ。2人で仲良く暮らそうぜって……それがよ、いつの間にか冷え切っちまって、気がついたら、離婚届を突きつけられたよ。おれも頑張って働いたんだが、どうしても生活は苦しくってよう、な、わかるだろ?おれのやりきれない思い」
「ええ、そうね……ええ……」
生返事で答えたものの、どうでもいいことだった。
(もう、ほんと何考えてるの、この人。そんなのあたしに関係ないって……人を巻きこまないで)
「それで、気が付くと、誰もいなくなってた。毎日が寂しくって、虚しくってよう、そんなとき、お前を見かけたんだ。……すごくかわいかった。おれの寂しい思いを埋めてくれたんだ」
(そう、いい迷惑だわ、おかげで誘拐されて……こんな山奥で監禁されて……)

「一度でいい、一度でいいから、抱かせてくれ」
(えっ!ちょっ……ちょっ……)
男はまるこに抱きつくと、ベッドに押し倒した。
「いや……いやああぁぁぁ……」
必死になって逃げようとしたが、男に抑えられて、逃げることもままならない。
しかし、男は抱きついただけで、それ以上の行為には及ばなかった。
最初じたばたしたまるこだったが、男が乱暴しないと分かると、させるがままにした。
「か、母ちゃん……」
男がふと呟いた。
そのあと、いびきが続き、男は眠ってしまった。
まるこは男の手をほどくと、ベッドの上で呆然とした。
『母ちゃん……』男のその言葉はマザコン男が使う母ちゃんとは別の響きを持っているように感じた。
何か大きな決心をしたときに使う響きだった。
男の顔を見る。
安らかな寝顔はまるで赤子のようで、同情さえ感じてしまう。
(なんか、ドロンできなくなっちゃった。どうしてだろ、あたし……)
まるこは何を思ったか、着ているものを脱ぎ出した。
全部、脱ぐと化粧室にある鏡の前に立ってみた。
細く華奢な身体のあたし、そんな自分が昔から嫌いだった、身体も性格も……
部屋の電気を全部消すと、男のいるベッドに潜り込む。
「ねえ……ねえ……」
まるこは男を揺すって起こそうとする。
「ん、なんだ?……まだ、いたのか?おれのことなんかほっといてくれ」
「……抱いて」
「!?……」
まるこはどうしてそんなこと言ったのか自分でも分からなかった。
嫌なあたし、哀れな男、消去法で全部消してゆくと答えがそれだった。
男はまるこの身体を抱きしめると、小さなおっぱいを軽くもみながら、チューチュー吸った。
甘美な感覚が襲い、ジーンと痺れてくる。
「ああ……う、あん……」
とても丁寧に愛撫して、まるこの身体を包み込む。
「はあ……ふ、ぅあ……」
男の手がまるこの秘部を捕らえ、縦になぞるとクリトリスを指先で転がした。
「ああ……気持ちいい……あん……」
陰毛に包まれた秘部は次第に熱と湿り気を持ち、女の匂いを解き放っている。
まるこは股を開き、男の手の任せるままにした。
初めての快感に、ただ酔い、受け入れるがままになった。
「……あっ……ああ、いい……」
頭がクラクラしてきて、もうどうにでもしてくれと思ったころ、男がまるこの間に入り、熱い怒張を秘部に押し当ててきた。
「好きだ、好きだ……」
男の唇がまるこの唇をふさぎ、舌が侵入してくる。
それと同時に怒張が腟を押し広げ、未開の花を咲かせようとしてきた。
「あっ、だめ……痛い……あっ、痛いっっっ……」
強烈な激痛が襲い、それは今までの甘美な感覚と違って、辛い現実へとまるこを戻した。
「やめて……いや、やっぱり、いやああぁ……」
涙が一筋、頬を伝って落ちる。
男根は根元までまるこに収まり、男はゆっくりと抽送をしながら、まるこの中を楽しんだ。
「あっ……いや……いや……」
ズコ……ズコ……ズコ……ズコ……ズコ……
「うっ、いきそうだ!おおっっ!」
「やだ……やだあぁぁ……」
男は腰を一際高く突き上げ、男根を子宮に強く密着させた。
ドピュッ……ドピュッ……ドピュ……
熱い塊がまるこの中で爆発し、おたまじゃくしの大群が子宮道をうねりまわった。

男の身体が弓なりになり、そのままベッドに崩折れ、いびきがまた聞こえてくる。
スポンと抜けた結合部からは敗残の白い精液がコポコポと溢れてきた。
(いや、いや……もういや……やだよう……)
まるこはしばらくベッドにうつ伏せ泣いていたが、シャワーを浴びると、着替えを済ませ、男を残したままモーテルをあとにした。
家に帰ると、警察やら家族から質問攻めを受けたが、男との情事については伏せた。
疲れからか、そのまま寝入り、起きたのは夕方、外も暗くなってからだった。
テレビをつけるとニュースをやっていた。
「ただ今、入った情報によりますと、電車にはねられた男は……」
詳しいことは分からなかったが、直感的にあの男だと分かった。
男の遺品と思われる財布にあった写真からはモザイクのかけられた女性と子供が、テレビ画面越しにまるこの目に焼き付けられる。
「まるこ、そんなに熱心に見て、どうかしたのか?」
おじいさんが聞いてきた。
「……ううん、なんでもない」
(これは思い出……あたしのダメなとこをあの男は持って、あの世に行ってしまった)
まるこはグッと唇を噛みしめ、強く生きてゆくことを心に誓った。

END